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サジー関連 研究者
石神 隆(いしがみ たかし)先生 その3
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法政大学 人間環境学部教授
石神 隆 先生
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英語名Seabuckthorn、学名Hippophae rhamnoides といわれる沙棘は、砂漠緑化の切り札と目されている。なわしろぐみ科に属する多年生潅木植物で、まずは圧倒的に乾燥地に強い。年間の必要水分は降水量で250mm以上あれば育つ樹種である。乾燥土壌に特有の温度差にも大変に強く、地表最低温度マイナス50℃から最高温度60℃に耐えるとされている。
沙棘は、空中窒素の固定能力をもっている。つまり、自分で肥料を作り出し、自立的に育つという大きな特性を持っているのだ。マメ科植物が持つような根粒菌を根に宿し、窒素固定を行う。したがって、土壌改良にも役立ち、沙棘の植栽により、痩せた土地が肥沃なものに改善される。ポプラなど他の緑化植物と混植すれば、その緑化植物の活着率や生育率も向上するという効果もある。さらに、沙棘の根は、しっかりと横に強く張り、土壌流出の防止や傾斜地の土砂崩壊にも極めて有効であるということが知られている。
沙棘の最大の特徴は、何といってもその有用性、経済的価値の大きさである。秋に実をつける小さなグミ状の果実はビタミンや滋養分を多量に含み、ジュース、ジャム、化粧品になる。種子は強力な薬効成分を持ち、特に価値が高い。葉は抗酸化物質をはじめビタミン、ミネラルを多いに含むお茶になる。香りも悪くない。また、木そのものは、よい薪炭材や茸原木として使える。
背丈2〜5m程度のこの植物は、まさに土地の痩せた砂漠の緑化にはもってこいの樹種である。捨てるところのないほど経済価値の高いこの木は、地域農民にも、植え甲斐、育て甲斐がある。

沙棘の活用・・健康と環境と経済への貢献
@沙棘の持つ薬効成分
もう少し、詳しくみてみよう。沙棘は、主にユーラシア大陸の北部地域に自生、このうち、約90%が中国とくに痩せた黄土高原に分布している。劣悪な生育環境が、沙棘に強靭な生命力と豊富な生物活性成分を付与する結果となっているのだろうか。果実、種子には、ビタミンC、E、βカロチン、フラボノイド、各種アミノ酸、オレイン酸、リノール酸、さらに10種類以上の必須微量元素、その他多くの生物活性成分が高い割合で含まれている。
沙棘は「万能薬」だ。虚血性心疾患、脳血管障害など血液循環にかかわる病気の防止解消効果をもち、新陳代謝、自己免疫系に対する効果もある。また、呼吸器疾患、消化器疾患、アレルギー、腫瘍、癌治療に効果があり、肝機能改善、脳代謝改善(知力発達、ボケ防止)や老化防止(若返り)にも役立つ・・と効能をあげればきりがないくらいである。西洋医学的な検証は緒についたばかりであるが、中国ではもともと医薬品として長い歴史を持っているものである。唐の「月王薬珍」「四部医典」、また、清の「晶珠本草」など古い薬典に掲載され、近年では国家衛生部の「中国薬典」にも効能が記載されている。中国だけでなく、ロシアにも沙棘の薬学成分に関する研究の積み重ねがあり、旧ソ連では、宇宙飛行士の保健薬品として実際に使用されていたという。
A沙棘による環境改善
沙棘は比較的に生育が早く、強い環境適応性と窒素固定能力をもつ植物である。中国における荒砂岩地区における沙棘植林の試験では、苗を植えて3年で試験地一面が緑に覆われ、5年で沙棘林が繁茂、動植物が現れだしたという結果がある。また、水土保全では、7年生前後の沙棘林により、土壌表層土の水侵食を約75%減少、風侵食も約85%の減少を記録したという。さらに、土壌改良にも効能があり、降水の保留、通気の改善、有機質含有量の増大に顕著な効果が出ている。沙棘は秋から冬に落葉するが、窒素分を多く含んだ葉は分解されて良い肥料となり、土壌改良に重要な役割を果たしている。沙棘林の表土層の微生物含有量も、他と比べ相対的に高くなっているという研究もある。
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